ニューヨークのデパートそしてゴシップガール

ニューヨークの超高級セレブ百貨店「バーグドルフ・グッドマン」

ニューヨークマンハッタンの5番街の34丁目から60丁目にかけては、もう目がキラキラに輝いてきます♪たとえ靴擦れしていても、足の指にマメができていても、ここの通りを歩く時には痛みを忘れてしまうほど・・。シャネル・ルイヴィトン・プラダ・エルメス・サルヴァトーレフェラガモ・ブルガリ・プッチ・ハリーウィストン・フェンディ・ティファニーと大人気のブランドショップが路面店を構えています。

そして高級百貨店のSaks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アベニュー)やHenri Bendel(ヘンリー・ベンデル)BARNEYS NEW YORK(バーニーズ・ニューヨーク)のウィンドーディスプレイを眺めるだけでも、うっとりしてきます~~ そして超高級百貨店といえば【Bergdorf Goodman:バーグドルフ・グッドマン】です。顧客リストの名前にはセレブの名前がズラッと並んいます。グレース・ケリー、エリザベス・テイラーといったハリウッドを代表する大女優の名前もあれば、ミシェル・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジャクリーン・ケネディといったファーストレディは、バーグドルフ・グッドマンで大統領就任式のドレスを作っています。

ファッション業界のアイコンであり、そして創業112年の老舗でもありそして今でも世界中から多くの観光客が訪れるいわばファッションの聖地的な存在の、超高級百貨店【バーグドルフ・グッドマン】の裏側にカメラを向けたドキュメンタリー映画が公開されました。

『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』

マンハッタン五番街はとんでもない土地価格です。日本のブランド「ユニクロ」が五番街にフラッグショップをオープンしていますが、賃料は15年間で3億ドルです。日本円にするとなんと277億円!という価格です。五番街の中でも超一等地にある『バーグドルフ・グッドマン』は百貨店の中でも特別な存在です。創業112年の老舗デパートであり、「今、ディスプレイには何が?」が昔から合言葉だと、ジョルジオ・アルマーニが言うほど洗練されたショーウィンドーは、毎週150万人もの人たちがディスプレイを見ます。まさに美術品とも見間違うほどの美しいショーウィンドーをカメラに収める人も少なくありません。

バーグドルフ・グッドマンに自分のお店がないと、一流とは認められない。デザイナーがいつかこのデパートに自分の服が並べられるのを夢見る登竜門的な存在でもあります。そのデパートの裏側にカメラが入ったドキュメンタリー映画意になっていて、映画の中に登場するデザイナーも豪華です。原題の『SCATTER MY ASHES AT BERGDORF'S』は、「私の遺灰を バーグドルフに撒いてね」という日本語になりますが、この言葉は『ザ・ニューヨーカー』誌に掲載のビクトリア・ロバーツの漫画の中で、年配の女性たちがつぶやく言葉から映画のタイトルは取られました。

どんな映画?!

観光客から憧れる場所であることはもちろんですが、政界そして財界からも注目を集めるデパートです。映画はなにかしらの形で『バーグドルフ・グッドマン』に関わった著名人170人以上のインタビュー形式で進められていきます。登場してくるのは、とにかくなにかしらテレビや雑誌などの媒体で見たことがある人ばかりです。かなり影響力がある人たちばかり。どんなに有名デザイナーであったとしても、『バーグドルフ・グッドマン』に出店していないとデザイナーとしての地位は終わりだとまで語られます。

ミシェル・オバマ大統領夫人がワシントンで就任式の夜に行われた2009年大統領祝賀パーティで、左肩が大きく開いた白いドレスで登場して大変な話題になりましたが、このドレスをデザインした26歳ジェイソン・ウーという若きデザイナーも、もちろんバーグドルフ・グッドマンで人気の高いデザイナーです。ジェイソン・ウーは、2008年Fashion Group InternationalファッショングループインターナショナルでRising Star Award新人賞を獲得して、世界中から熱い注目を集めています。その他にも、マドンナが愛してやまない靴の魔術師マロノ・ブラニクやジョルジオ・アルマーニ、カール・ラガーフェルド、クリスチャン・ルブタン、マーク・ジェイコブスなども登場しています。

日本でもここ数年大人気となっているトリー・バーチは、「一番最初に取引したのがバーグドルフ・グッドマン」だとインタビューで答えています。そしてファッション業界のカリスマスタイリスト、真っ赤な髪がトレードマークのパトリシア・フィールドは、ファッション映画やファッションテレビでファッションコンサルタントで有名です。パトリシア・フィールドが担当した映画で有名なのは「プラダを着た悪魔」や「お買い物中毒な私」です。そして大ヒットドラマで映画化にもなった「Sex and the City」の衣装では、エミー賞も受賞しています。もちろんそのパトリシア・フィールドもインタビューに登場していますが、彼女独自の外しテクニック&ルックスは要必見です。

どんなデパート?!

「Sex and the City」では出産祝いにと、バーグドルフ・グッドマンに出産祝いを買いに出てくるシーンがありますがこの老舗デパートは、日本の百貨店とはまったく違っています。「バーグドルフ・グッドマン」が顧客に持つセレブビリティがそうさせているのか、それとも「バーグドルフ・グッドマン」が持つ百貨店の雰囲気がスペシャルな空間を醸し出しているのでしょうか。

サラ・ジェシカパーカーの着こなしはもちろん、一時は社会現象にまでなった「Sex and the City」で話題になったのはファッションだけではありせんが、おしゃれな映画に「バーグドルフ・グッドマン」からたびたび聞こえてくる名前です。マリリン・モンロー、ローレン・バコール、ベティ・グレイブルが登場する映画『百万長者と結婚する方法』では、金持ちとの再婚に執念を燃やすシャッツィを演じるローレン・バコールの台詞で「次に覚えておくことはね、ハム売り場をうろうろしている男はバーグドルフデパートでミンクを見ている紳士に比べたら、まったくさえない男だってこと」と、玉の輿狙いのヒケツを伝授する台詞があります。

昔から女性が憧れのデパートとして、常に注目を集めそしてファッションを発信する5番街にたくさん数あるお店の中でも、「バーグドルフ・グッドマン」は特別な存在です。いまや高級百貨店という枠に留まらず、ニューヨーク文化の一翼を担う存在となっている『バーグドルフ・グッドマン』は、アメリカのハイ・カルチャーのシンボリック的な存在です。

バーグドルフとグッドマン

1894年にフランスからの移民ハーマン・バーグドルフが婦人服と毛皮専門のお店を、マンハッタンの北側に構えたことがことの始まりです。最初は小さなお店からスタートしたのが、まさかファッション業界のアイコン的な存在にまで発展したのには、小さなお店がオープンしてから5年後に見習い職人として弟子入りしたドイツ系移民のエドウィン・グットマンの手腕が大きく関係しています。

見習い職人として入ったグッドマンは、婦人服テーラーメイドの仕立でメキメキと頭角を現します。職人としての才能はもちろんですが、グッドマンは経営センスにも大変恵まれていました。そしてグッドマンは1901年にバーグドルフの株を入手して経営パートナーになり店名を『Bergdorf Goodman:バーグドルフ・グッドマン』とします。世界では第一次世界大戦の嵐が吹き荒れる頃のことですが、いずれヨーロッパのデザイナーがアメリカに進出してくることを見計らっているかのような戦略を進めていきます。1906年にお店を西32丁目に移転させて8年後の1914年にはマンハッタン5番街をさらに北上させて場所的に断然有利な場所に移転させます。そしてオーダーメイドが当たり前だった時代に、購入すればすぐ着ることができるという既製服を史上初めて売り出します。時代の波に見事に乗り、着実に地盤を固めていきます。

セレブビリティ御用達

バーグドルフには食料品売り場はありません。食べ物があってもそれはあくまでギフト用で、チョコレートとキャンディだけが唯一の食品です。ハイブランドがとても充実していることはもちろんですが、7階にあるインテリアとステーショナリー売り場にはセンスの良い小物達が沢山置かれています。クールビューティでハリウッドトップ女優のグレイス・ケリーが、モナコ王室のレーニエ公との婚披露の招待状を送っただけあり、ステーショナリーも一流品です。

アメリカの富裕層の買い物っぷりもインタビューに登場する販売員から語られます。「超有名な歌手(ジョン・レノンとオノ・ヨーコ)が250万ドル(約2億5000万円)分の毛皮を1晩で購入した」とか、「外商が1日40万ドル売り上げる」つまり1日約4000万円の売上げとか、バーグドルフの販売員の年収は50万ドル以上とか・・販売員で50万ドルなんて日本円で5000万円なので、日本の大手百貨店の役員クラス以上の給料を手にしているともいえるかも。。その富裕層の使い方はすごいんだぞってことがよーく分かります。

セレブビリティ御用達のデパートの名声そのままに、アメリカ女性の1950年代ファッションアイコンだったジャクリーン・ケネディのドレスを手がけたり、エリザベス・テイラーからオーダーの100個のイヤー・マフを製作したりと、ファッショニスタから常に注目を集め続けてきました。

バーグドルフ・グッドマンは「オンリー・ワン」として支店を出さない主義を守るだけではなく、洗練されたファッションの基準を厳しく守っています。だからこそは、いつか「バーグドルフへ出店する」ということが目標となり、バーグドルフ・グッドマンは新人デザイナーを発掘する場所にもなっています。一流デザイナーと呼ばれる人たちに出す要求もデザイナーにとってはスペシャルな場所なだけに、バーグドルフ・グッドマンが、デザイナーに出す要求もとても手厳しいものです。

1970年代にアメリカの「アメリカンファッション」を確立したデザイナーのロイ・ホルストン・フローイックのブランド、HALSTON:ホルストンは、カトリーヌ・ドヌーブやジャクリーン・ケネディそしてエリザベス・テーラーの御用達で有名ですが、『バーグドルフ・グッドマン』はホルストンに対して「バーグドルフ限定のデザインを出す」という要求をどうしてものめなかったそうです。デザイナーとしてホルストンは「自分のデザインを幅広い客層の人たちに着てもらいたい」という思いが強かったからです。『ニューヨーク店限定』とか『ハワイ限定』といった「店舗限定」という先駆けたスタイルをとったのも、ニューヨークファッションの一翼を担っていると自負する『バーグドルフ・グッドマン』が先駆けになっています。

金融危機のために、『バーグドルフ・グッドマン』は同じく高級百貨店を全米で展開している『ニーマン・マーカス』の傘下へと入っていますが『バーグドルフ・グッドマン』今でも昔と変わることなく洗練されたファッションを発信して女性達の憧れの百貨店であることは変わりはありません。顧客の人たちは昔から代々続く富裕層はもとより、アメリカンドリームを成しえた成金たちです。常に時代の波に乗って、たかがファッションと称されてしまうジャンルを、モダンアートの域にまで高めています。そこの最先端で活躍するのがウィンドウディスプレイの担当者です。

この映画の見所はニューヨークの街が一番きれいに彩りされるクリスマスシーズンのクリスマス・ディスプレイの一部始終が見れることです。建築家でもあり、そしてパテシエとも称されるウィンドウディスプレイの担当者デビット・ホイの作り出す空間は、デザイナー達からも「美術館」と称されるほどです。

デビット・ホイは『バーグドルフ・グッドマン』で14年間ディスプレイを担当していますが、芸術的なセンスはウィンドウディスプレイの中で発揮されていて、ゴージャスなだけではなく物語りまでも感じる表現力が空間に繰り広げられています。『バーグドルフ・グッドマン』の前を通る人たちは、思わず足を止めてショーウィンドウを見とれてしまいます。デビット・ホイは「ショービジネスの華やかさ、舞台芸術の美しさ、そして紙芝居の要素を込める」と語っています。その彼のクリスマス・ディスプレイの最初から最後までを見るのは見所のひとつになっています。

『バーグドルフ・グッドマン』が閉店した後に、真夜中の店内にカメラが入り昼間とは違う印象となっている店内と、ウィドウディスプレイがどのようにして準備されて私たちの目の前に登場するのかを存分に楽しんでください。

『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』:スタッフ

  • 監督、脚本・・・マシュー・ミーレー 2014年1月の報道で、1937年創業のアメリカを代表するジュエリーブランド「Tiffany & Co.」の歴史を題材にしたドキュメンタリー映画製作が発表になり、マシュー・ミーレーが監督を担当することが発表されました。
  • 撮影、編集・・・ジャスティン・ベア
  • 音楽・・・アンソニー・ローマン